2020年の東京オリンピックは、不動産投資において注目が集まるイベントで、特に開催終了後の価格動向が注目されています。
価格が上がるか下がるか、それは実際にそのときになるまで誰にも分かりませんが、上がる要因と下がる要因、その双方を把握して分析することで未来が見えてきます。
また、過去のオリンピック開催国の事例にも目を通すことで、2020年東京オリンピック後の価格が予測可能となります。
基本的に、不動産価格は経済成長に合わせて上下する性質があって、成長率に伸びが見られれば不動産の価格が上がる傾向です。
世界のオリンピック後の経済成長は?
アメリカやイギリスの事例だと、オリンピック開催前よりも後の方が、経済成長率が上がる結果に至っていますが、中国は開催前年度こそ大きく飛躍したものの、開催翌年は成長率が落ち込みました。
この違いを知るヒントは、オリンピックの開催に合わせてインフラ整備を急いだか否かで、前者は元々インフラが揃っていて、後者は急いで整備しています。
当然ですが、インフラ整備の需要が急激に高まれば、その後冷え込んで経済成長率が落ち込むことになるわけです。
では日本はどうかといえば、アメリカやイギリスのように基本的なインフラは揃っているので、オリンピック開催後も経済が伸びる可能性があります。
ただ、これはあくまでも過去の事例に基づいた予測の1つですから、1つの可能性だけで不動産価格が上がると判断するのは早計です。
不動産投資を検討するのであれば、価格に影響を与える他の要因にも目を向け、予測の精度を上げることが大切です。
東京では、オリンピックに必要な設備を行うために、建築や人件費が上昇していますが、開催終了後は落ち着くと見られます。
これが東京オリンピック後に不動産価格が下落すると考える人達の根拠になっています。
しかし、2020年以降にはいわゆるカジノを含めたIR施設の建設が予定され、再び建築の需要が増えることによる、人件費の上昇や高止まりの可能性が出てきます。
建設予定地が正式に決まれば、地価の上昇も起こると見込まれますから、不動産価格はオリンピックが終了しても下落しない、そう考えることができることもできます。
勿論これも予測に過ぎませんが、現時点で不動産投資を始めている人は経済成長を楽観的に捉え、また期待して投資を行っています。
東京の物件価格を世界の物件価格と比較!
そもそも、東京の物件購入価格は世界的に見ると安く、比較すると台北は東京の約1.2倍、香港は2倍弱でロンドンは2倍強高いです。
逆に東京は賃料が高いですから、安く物件を確保して高い賃料を設定する、そういう不動産投資ができる魅力があります。
世界と比較して初めて分かる事実ですが、世界との比較をしてみることで東京の不動産価格は上がる方に期待が掛かるでしょう。
今後賃貸の需要が増える見込みは、不動産価格が高まる期待に繋がり、そして海外から投資家が集まるというシナリオが予測されます。
単身者向けマンションの需要が拡大傾向にある東京
東京においては、単身者向けマンションの需要が拡大傾向にあると言われており、現在の世帯数や晩婚化などの傾向を考慮すると、これから需要が伸びるという予測が立てられます。
結婚しない人の増加傾向を合わせても、単身者が増えてマンションの需要が増える見込みは十分にあるはずです。
全国的に見れば、確かに人口は減少傾向にありますが、東京においては増加傾向にあります。
不動産投資の検討において、前向きな検討に値するポジティブな材料ですから、2020年東京オリンピック後の不動産価格上昇に期待が高まります。
他にも消費税増税で増税分の価格上昇が見込めますし、オリンピックが終わっても2025年に大阪万博があるので、しばらくは不動産価格上昇のムードは続くと思われます。
政府が財政収支の黒字化を達成できていないことも、不動産価格の点からすると、上昇を後押しする要因となり得ます。というのも、国債の信用が棄損される結果になり、国債価格が低下して代わりに金利が上昇する可能性があるからです。
2020年東京オリンピックの後は、このように不動産の価格を押し上げる要素が沢山ありますから、不動産投資の検討を始める人が増えていても不思議ではないです。
下落する可能性も無視できない
不動産は価格が上昇する要因だけでなく、逆に下落する可能性も同時に存在していることに注意が必要です。
東京オリンピックに向けて価格上昇を見込んで購入された物件は、開催前に手放される可能性もあり、仮にもし投資家が一斉に手放すようなことがあれば、不動産価格に影響して下落傾向を誘発させる切っ掛けになります。
長期譲渡による譲渡所得税軽減狙いの人達も、東京オリンピック開催決定後に購入した物件を、保有期間5年経過後の2019年時点で手放さないとは断言不可能です。
東京都心部ではオフィスビルの建設ラッシュが起こっているので、供給過多が発生して空室率の上昇や賃料の引き下げに、地価下落と連鎖してもおかしくないでしょう。
2022年に起こる生産緑地の制限解除も、農地から宅地に変更という形による需給バランスの変化に懸念があります。
それでも全体的に見ると不動産価格上昇のポジティブな要因が多いですから、これから投資するにしても検討の余地は十分です。