投資の手段はいろいろとあるなかでも、不動産投資にはいくつかの優れた面があることから、世の中ではかなりのポピュラーな手段となりつつあります。アパートやマンションを購入し、その賃貸収入などによって本人が利益を受けるだけではなく、将来相続をすることになる子孫のためにも、現物の資産を残すことができるという意味では、特に不動産投資の優位性はきわだっているといえるでしょう。
しかし実際に不動産投資をしようとする場合には、最初物件を購入するための資金が必要になることは確かです。この資金をすべて一括してキャッシュで支払うという豪快な購入のしかたも裕福な人であればできないわけではありませんが、一般にはいくらかの自己資金を頭金に充当するとともに、足りない部分は不動産ローンを使って購入費用を捻出し、その後何十年かにわたって利息とともに返済をするような資金計画を立てることになります。
ここで考えなければならないのは、購入した本人がローン返済がまだ終わらない間に、病気その他の理由で亡くなるなどして、返済が滞ってしまうリスクです。
不動産投資は将来の子孫にとってもメリットがあるといえるのは、ローンを完済しているか、すでに完全に所有権を取得している手持ちの不動産がある場合に限られ、ローン返済期間中に本人が亡くなってしまうようであれば、逆に子孫に経済的な負担を背負わせてしまうことになりかねません。
そうしたリスクから家族を守ってくれるのが「団信」と呼ばれる団体信用生命保険です。
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家族を守るためには必須!「団信」とは?
団信は住宅ローンの契約者がローン返済期間中に亡くなってしまった場合や、重い障害を負ってしまった場合など、契約者がローン返済ができない状態に陥った際に、ローンの残額を代わりに支払ってくれる保険です。
一般的な生命保険との違いは、保険金の受取人が住宅ローンを借りた人や家族ではなく、住宅ローンを融資した金融機関になっています。団信は金融機関にとっても、不良債権を抱えるリスクを抑えられるメリットがあり、団信の加入を融資の条件にしているところがほとんどです。
この団信は、マイホームだけでなく、投資用不動産の融資を受ける際にも加入できます。
投資用不動産の場合 、その不動産が収益物件であれば家賃収入を得ることができるため、団信は通常の生命保険の代わりになると考える人も少なくありません。
ローン契約をした本人に万が一のことがあった場合にはローンの残債がゼロになるだけでも加入の意義が大きいものですが、がんになった場合の保障をさらにプラスして、がんと診断された場合にはローンの残債をゼロにすることができる、がん保険付きの団体信用生命保険などもあります。
40代から80代までの死亡原因1位は「ガン」
40代から80代までの幅広い年代で「ガン」は死亡原因の1位となっています。 特に最近の日本人の死亡原因を見てみると、がんやその他の悪性新生物が男女ともにトップを占める状態が例年のとおり続いており、誰もがかかってもおかしくはない病気となっています。
このようにがんのような病気になってしまい、返済が困難となってしまうことは、不動産投資をする上であらかじめ考慮しなければならないリスクのひとつでもありますので、実はローンを組む際に将来に向けた適切な対応ができるようにする手段も登場しています。
がん、脳卒中、心筋梗塞になった場合に残額が完済される保険
がんと診断された場合には、その後の治療費や入院費、手術代などの多額の医療費がかかりますし、場合によっては会社を退職または休職することにより、毎年の収入も大幅に減ってしまうことが見込まれます。
保険がなければこのような場合でもローンの返済を続けなければなりませんので、生活そのものが破綻するリスクがあります。いっぽうでがん保険付きの団体信用生命保険に加入していれば、残債がゼロになるので毎月の返済をしなくても済みますし、賃貸収入はそのまま本人のものとなりますので、医療費がかかったとしても賃貸収入を充てればよく、生活の安心を確保することができます。
また場合によっては医療費が高額すぎて賃貸収入だけでは足りなくなることもあり得ますが、その場合は投資物件を売却することも可能です。もしローンが終わっていない物件であれば、売却も困難になっていたはずですが、保険により残債がなくなった状態であれば、大手を振って売却もできるというメリットがあります。
がんだけでなく、脳卒中、心筋梗塞などを加えた三大疾病特約付団体信用生命保険もあり、「三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)」になった場合にローンの支払いが補填される、もしくは残額が完済される保険です。
このように不動産投資のリスク軽減には絶大な威力を発揮する団体信用生命保険ですが、いくつか注意しておかなければならないことがあります。
団信契約 、加入前に気をつけるべきポイント
金融期間により、団信の補償内容には様々なものがあり、それぞれの金融機関が提供する団信によって加入条件が異なるので良く条件を理解する必要があります。
病気やその経過によっては加入できないこともあるので注意が必要です。団信に加入できなかった場合は、団信加入が融資条件でない金融機関に変え、基準が緩い分保険料が割高なワイド団信に加入するなどの方法があります。
団信は掛け捨ての保険なので保険料は 、金融機関の住宅ローン金利から+0.2〜0.3%ほど上乗せされるため金利が高くなったように見えます。
団信の補償内容以外の病気やケガで仕事ができず収入が途絶えてしまった場合、家庭の収支が一気に悪化する可能性があるので、団信に加入したからといって生命保険等を全て解約せずに専門家に相談してから決めてください。